こうもりを久しぶりに見る。
夕闇のなかをジグザグ飛んでいて、
子供のころ、コウモリをつかまえたことを思いだした。
僕の子どものころの思い出の場所のひとつに洞窟がある。
僕がいちばん小さくて、
兄と兄の友達のうしろにくっついて、
いつも遊んでもらっていた。
遊ぶ場所は普通に野山だった。
近所の山には火山岩のせいか小さな洞窟がいっぱいあって、
遊びのひとつに洞窟探検があり、
子供たちだけで探検をしていました。
今思うととても怖く、今では考えられない遊びだった。
その洞窟の入口は狭く、
子供が四つん這いでやっと入れるようなもので、
中は少し広かっように思う。
迷路ほどではなく、奥はそんなに深くはなかったが、
子供が5、6人入れるぐらいの余裕はあったんだろう。
兄たちは湿った壁を削って、そこに何本かロウソクをたて、
マッチで火をつけると、真っ暗な洞窟のなかが、
ぼんやり明るくなった。
そんな遊びをしながら、ある日コウモリを捕まえて、
家につれてかえったことがある。
誰かが、手でつかんで、持ち帰ったんだんだろうか?
帰り道、みんなはとても興奮していた。
家に帰ると父が鳥かごにいれてくれて、
夜に何度も鳥かごのなかのコウモリを見た。
でも次の日の朝に、
父に「わいそうだから、逃がしてあげなさい」といわれ、
みんなと鳥かごを持ってまた山の近くまで出かけた。
鳥かごから出してあげると、
コウモリはまっすぐ自分の家のほうへ飛んでいった。
まっすぐ、まっすぐ飛んでいったのを今でも憶えている。
もし自分の子供たちだけでそんな遊びをしていたら、
ニュースになっちゃうくらい、大騒ぎだと思う。
今思うと、とてもいい思い出だけれど、
一言で言うと、野性的だし、野蛮とも思える。
あのころの親って、のんきだったんだろうか?
流れが早く冷たい川で普通に泳いでいたし、
サカナも手づかみだったし、
弓矢をつくって戦争ごっこをやったし、
パチンコを作って鳥をねらっていたし、
まぁ、鳥にはあたっことはないけれど、
なんか、なんか、とてもワイルド。
野蛮の反対ってなんだろう?
バーチャルということかもしれない。
終日、ドビッシーの練習曲を聴く。
3時におやすみ。 |